土屋歯科マガジン 2024年6月15日号 おとなのむし歯

  • おとなのむし歯日本人のお口の健康に関する意識の高まりで、今の子どもたちのむし歯は年々減り続けています。
    一方で、30~40年前の子どもたちはほぼ全てがむし歯を経験している世代です。現在40代以上のおとな世代ですね。

    そんなおとな世代のむし歯が、近年増加傾向にあることをご存じでしたか?

  • おとなむし歯の特徴

    むし歯は、口の中の細菌が糖質をエサにして酸を出し、歯のエナメル質を溶かしていくことで発症します。
    そのため、食べかすが残りやすくて歯ブラシが届きにくい奥歯のみぞや、歯と歯のすき間などにむし歯ができやすくなります。

    この点では子どももおとなも共通していますが、おとなむし歯は、おとなならではのさらに2つの要因によってむし歯リスクが増大します。

    *根面う蝕(根元のむし歯)
    おとな世代のお口の中は、歯周組織の炎症や加齢によって歯ぐきが少しずつ後退していきます。
    後退した歯の根元は象牙質が露出した状態になるため、酸に対する抵抗力が弱くむし歯になりやすくなります。

    歯の根自覚症状1元がしみる
    自覚症状2食べ物がよく挟まる
    自覚症状3歯肉が腫れている
    自覚症状4歯が長くなった気がする

    これらの自覚症状があり、1年以上歯科を受診していないという方は、一度検診を受けることをお勧めします。

    二次う蝕

    *二次う蝕(むし歯の再発)
    過去に治療をした歯の詰め物のまわりや被せ物のまわりに、またむし歯ができてしまうことです。
    以前の治療の際に神経を取り除いていると、むし歯になっていても気づきにくいため、気づいた時にはかなり進行していることも。

  • 増加しているのはなぜ?

    歯科医療技術の進歩やお口の健康意識の高まりから、年代別でみる歯の喪失本数は年々減少しています。
    しかし残存歯が増えたことで、年齢が高くなってからのむし歯も増加しているのが現状です。

    う歯を持つ者の割合の年次推移(永久歯:5歳以上)

    年齢を重ねたお口の中は、10代や20代の頃のお口の環境とは違います。
    おとな世代のむし歯リスクを知って、適切なセルフケアとプロのチェックでしっかり予防しましょう。

  • 生活習慣を見直そう

    *食習慣
    「しっかり噛む」
    唾液には歯の再石灰化を促す働きがあります。唾液をたくさん出すためによく噛んで食べるようにしましょう。

    「食事の時間とタイミング」
    家族団らんで会話をしながらゆったり食事の時間を楽しむのは素敵ですが、アルコールをだらだらと長時間飲み続けるのはお口の中がなかなか中和されないため、歯の脱灰を促進してしまいますので注意しましょう。
    また、一日に何度も間食をするのも避けましょう。

    「注意したい飲み物」
    お酢の入った健康飲料やビタミンCの豊富な柑橘系のフレッシュジュースなどは、美容と健康のために積極的に飲んでいる人も多いかもしれませんが、酸性度が高いので摂りすぎには注意しましょう。

    *歯みがき習慣
    ペングリップで歯ブラシを握る「ブラシの持ち方」
    鉛筆を持つように歯ブラシを持っていますか?

    「力加減」
    ペングリップでブラッシングすると、余計な力が入らずに小刻みに動かしやすくなります。
    ブラッシングの力が強すぎると、歯ぐき下がりの原因になってしまいますので注意しましょう。

    「みがき方」
    1~2歯ずつ小刻みに20回程度ブラッシングしましょう。

    「すすぎ方」
    歯みがき剤に配合されているフッ素は歯質を強化してくれます。
    少量の水で軽く1回すすぐ程度にして、お口の中にフッ素を残しておきましょう。

    *定期的なお口の健診
    歯医者さんで定期健診お口の状態が健康に保たれているか、かかりつけの歯医者さんで定期的に健診をしてもらって、おとなむし歯を予防しましょう。