土屋歯科マガジン 2024年5月1日号 ネット(ゲーム)にハマる

  • ネット(ゲーム)にハマる私たちは誰でも、何かに心を奪われ、没頭し、夢中になってしまうことがあります。
    好きな俳優、アイドル、アニメ、漫画やゲームのキャラクターなど・・・「推し活」といえば自分もそうだ! と思い当たる人もいるのではないでしょうか。

    私たちの手元には、いつでも世界中に繋がることができるデジタルデバイス、スマートフォンがあります。
    スマホからはユーザーの興味や嗜好に合わせたピンポイントな情報がどんどん提供されるしくみになっています。

  • ハマるメカニズム

    スマホの普及によって、ゲームやSNS、音楽や動画などのコンテンツをいつでもどこでも楽しめるようになりました。
    スマホで楽しむゲームには、以前のようにゲーム機やソフトを購入しなくてもよい手軽さや、無料で始められるものが多く、だれでも気軽にプレイを始めることができます。

    そして、ゲーム内の一定のミッションをクリアしても、次のステージが用意されていたり、新たなアイテム、キャラクターなどの登場によって、ユーザーはずっとゲームを楽しめるようになりました。

    推し活命!

    ハマるメカニズムには、やる気や幸福感をもたらす「ドーパミン」という物質が大きく関係しています。

    脳からドーパミンが放出&ハッピーゲームや推し活などで何らかの報酬(楽しい体験)を得られたとき、また得られそうな期待感が高まったときに脳から神経伝達物質であるドーパミンが大量に放出され、これを受容体が受け取ることで私たちは幸せな気分を感じることができます。

    ネットゲームなどではこの脳の活動が繰り返されることで回路が活性化し、ゲームが習慣になっていきます。

  • 「気象病」のメカニズム

    ドーパミンには幸せな気持ちにさせてくれたり、集中力ややる気をアップさせてくれる効果がありますが、過剰に分泌されると脳内のドーパミンを受け取る受容体の数が減ったり、ドーパミンの分泌能力自体も低下してしまい、長時間やり続けても幸福感が得られない状態になってしまいます。
    そうなると、今までのような満足感を得るためにさらにのめり込んでしまうといういメカニズムに陥ってしまうことがあります。

    では、ネット(ゲーム・スマホ)依存などといわれる状態になってしまうのはどこからなのでしょう?
    その境界線はあるのでしょうか?

    WHO(世界保健機関)による国際疾病分類の最新版「ICD-11」で、『ゲーム障害』についての国際的な診断ガイドラインができました。
    基本的にはネット全般においても同様の考え方で診断が可能となります。
    厚生労働省:「ゲーム障害について」

     

    ※心身の健康が崩れる

    ・一日一食になったり、食事を摂らなくなるなどの食生活の乱れ
    ・睡眠不足や昼夜逆転などの睡眠習慣の乱れ
    ・服装の乱れや、入浴をしないなどの衛生面の乱れ
    ・イライラしたり、焦燥感などの心理的な乱れ
    ・首や肩のコリ、眼精疲労や視力低下などの身体的異常

    ※社会生活が崩れる

    ・学校や会社での成績の低下、遅刻、欠席・欠勤をする
    ・約束した時間やルールが守れない
    ・ネットやゲームに関することでうそをつく
    ・攻撃的なことばや行動がみられる

    脳からドーパミンが放出&ハッピー

    「ハマり過ぎ」と「依存」の境い目については、はっきりと“ここまでが”“ここからが”ということは難しいようです。
    本人に自覚がなくても、上記のような状態を家族や周りの友人が気づくことで、はやめに専門科へ相談したり対応をすることが大切です。

  • デジタルデトックスを取り入れよう

    仕事やプライベートでもパソコンやスマートフォンを長時間使い続けている人は、気づかないうちに脳が過度に疲労して不調をきたしている可能性があります。
    たまには周りにあるデジタルデバイスを手放して過ごしてみるのはいかがでしょう? 

    デジタルデトックス

    スマホから離れていることでかえってストレスにならないように、まずは短めの時間から始めましょう。
    スマホからの通知をオフにしたり、外出時の移動や、休憩時間などは本を読んでみたり、自分に合ったデジタルデトックスを楽しんでみてください。