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動物たちの歯のしくみは、どんな環境で、どんなものを食べているかで大きく違うことが分かってきました。
今号では「動物の歯」シリーズ第三弾、『爬虫類・両生類』そして『鳥類』をご紹介します。 -
哺乳類とは対照的に、ワニなど爬虫類の仲間には次のような特徴があります。
※ 一生の間に何度も生えかわる ⇒ “多生歯性”
※ すべての歯がほとんど同じ円錐形をしている ⇒ “同形歯性”
※ あごの骨の表面に歯がはりついている状態で、歯に根っこがないため抜けやすい
ワニは獲物を食いちぎり丸飲みにします。噛み切ることのできない大きな獲物を捕食するときは、体を廻して引きちぎります。
食らいついたら離さない貪欲なイメージがあるワニですが、お食事タイムは基本『待ち伏せ』です。
変温動物であるワニなどの爬虫類は、一度大きな獲物にありつければ、1年くらいは何も食べなくても生き延びることができるといいます。毒ヘビは牙から毒を出し獲物をしとめます。この牙も歯の一種ですが、普段は口の奥で横向きに倒れていて、大きく口を開けると起き上がるしくみになっています。
獲物に牙が刺さると、牙の中にある管から毒が注入されます。:下の歯の数が左右で違うヘビ!
東南アジアに生息するセダカヘビというヘビのなかまで、右巻きのカタツムリを好んで食べる種類では、下あごの歯の本数が左側よりも右側のほうが多いのだそうです。
食べるものによって最適な歯のしくみを獲得したこの「右利きヘビ」の食事のしかたに興味がある方はこちらのサイトをのぞいてみてはいかがでしょうか?
『WAOサイエンスパーク』
(参考記事:京都大学白眉センター研究グループ より)カメは爬虫類の仲間ですが、歯がありません。あごの肉が硬くなっています。
カエルは上あごにだけ歯があり、下あごには歯がありません。カエルは舌を使って虫などを捕食するので、歯はあまり必要ではないのかもしれません。
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トリには歯がありません。歯の代わりにあるのが「くちばし」です。
ただし、トリの祖先といわれる始祖鳥には歯があったということが知られています。大昔、トリは歯があったために重く、長く空を飛ぶことができませんでした。トリは大空を長く飛ぶために進化の過程で歯を失ったのです。
歯を持たないトリはエサを丸飲みにします。
歯の代わりにお腹に砂の入っている袋『砂嚢(さのう)』を持っていて、この砂を利用してエサを砕くのです。 -
むし歯のメカニズムは、糖質を含む食べ物を食べることで口の中のむし歯菌が出す酸によって歯が溶かされることでむし歯になります。
野生動物の食事には糖質が含まれないため、むし歯にはならないといわれています。
また、非加熱の硬いものを食べているため咀嚼の回数も多く、唾液の分泌も促されるため、そのこともむし歯になりにくい要因となっているようです。では、家で飼われているイヌやネコはどうでしょうか?
飼い主さんが食べている食事をおいしそうに見ているからと、つい私たちヒトと同じおやつを与えられたりしていることがあるかもしれません。また、軟らかいペットフードなどは歯の間に残りやすため、ペットとして飼われているイヌやネコには虫歯や歯周病のリスクが考えられます。
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空を長く飛ぶために歯を失ったトリのように、長い進化の過程で動物たちの歯のしくみや役割も変化しています。
それは現代のヒトも同様で、柔らかい加工食品や調理済みのレトルト食品などの普及もあり、食事時間と噛む回数が大きく減少してきていることが問題になっています。
ヒトの永久歯は親知らずを除くと全部で28本ですが、これからの長い進化の過程で、歯の本数が変化することも…あり得ないことではないのかもしれません。