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朝起きると顎が痛んだり、なんとなく歯に違和感を感じているという人は、もしかしたら就寝中に歯ぎしりをしてしまっているかもしれません。
歯ぎしりは自覚症状がなく、よく睡眠中に起こるため、同室で寝ている家族に指摘されて気づくことも多く、日本人のおよそ5~15%にみられるといわれています。また、約6割の人は雑音を伴わないリズミカルな、咀嚼のような顎運動を繰り返していることが分かっていて、睡眠中に咀嚼筋が何らかの活動をすることは、決して珍しいことではないようです。
しかし、知らず知らずのうちに歯ぎしりが習慣になってしまっている人は、早めに対処することが必要です。
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無意識におこなう「歯ぎしり」と「咬みしめ」「食いしばり」を総称して『ブラキシズム』といいます。
昔から、『歯ぎしりをして悔しがった』とか『歯を食いしばって耐え忍んだ』などと表現されているように、私たちの精神状態をあらわす行為として日常的に行われていたことがわかります。問題となるのは、ブラキシズムの程度が障害を引き起こすほど激しくなってしまったときです。
■ 自然に口を閉じた状態では上下の歯が触れていないのが正常ですが、以下の状態のとき上下の歯が接触しているようなら「噛みしめ」の傾向にあります。
□ 長時間、黙々と集中して仕事をしているとき
□ 包丁を使って調理しているとき
□ 読書やゲームなど、趣味に没頭しているとき
□ 車の運転をしているとき
□ ゴルフや野球などの打撃系、ラグビーやサッカーなどの接触系のスポーツをしているとき■ 歯の状態、体調を確認してみて以下の項目に該当する人は、睡眠中に「歯ぎしり」している可能性大です。
□ 歯にひびがあったり、欠けたりしたことがある
□ 上下の歯が噛み合うところがすり減っている
□ 朝起きた時、顎が疲れている
□ 食事をする時などに顎が鳴る
□ 肩こりが治らない食事をしているときに咀嚼する力は、自分の体重と同じ位といわれています。男性では60㎏、女性では40㎏ほどです。
歯ぎしりをしている時はその2倍もの力が加わっているといわれているので、気づかないうちに習慣化してしまっているとお口の中だけでなく、全身にも悪影響を与えてしまいます。歯ぎしりによって、歯の摩耗、破折、知覚過敏などを引き起こしたり、顎関節の痛み、肩こりや頭痛、倦怠感など全身にまでダメージを受けるようになってしまうと、治療の必要があります。
一度歯科医院で診察を受け、噛み合わせや、歯や顎の状態を診てもらいましょう。 -
■ 心因性、ストレス性によるもの
人はストレスを感じるとウロウロ歩き回ったり貧乏ゆすりをしたり、無意識にストレスを発散するための行動を起こします。
歯ぎしりもそういった行動の一種として現れることがあり、その場合はストレスが取り除かれることで治まることがほとんどです。■ 噛み合わせ異常によるもの
むし歯や歯並び・歯周病などで噛み合わせに違和感があったり、顎の変異や金属冠の不適合などがあると歯ぎしりをすることがあります。
長期的に歯ぎしりが続くと歯が削れたり折れたり、顎に負担がかかったりして更に噛み合わせを悪くしてしまいます。
これらが原因の場合は、しっかり治療をして不具合を改善することにより、歯ぎしりを軽減させることができます。 -
●就寝前の1時間はリラックスタイムにして自分の好きなことを楽しもう
●低めの枕に首の付け根までのせ、顎を上に向けて寝るようにしよう
●布団に入ったら「明日はきっと楽しい一日になる」「唇は閉じて歯は離す」など、何度も声に出したり 心の中で言い聞かせて、自分に暗示をかけて眠ろう
●歯科医院で歯の形に合わせたマウスピースを作ってもらい、就寝時に装着して寝るようにしよう